インエクレシアメント論
写真は、ハイスターバッハ修道院の廃墟にあるハイスターバッハのカエサリウスの記念碑。雨の日に撮ったものなので薄暗いのだが、雲ひとつない青空の下よりもむしろ映えるように思う。
学会で多田晢さんから「インエクレシアメント論ー提唱とその余波(2005〜2017年)」『国際教養学部論叢』11-1、2018年、39-49頁を頂戴したので拝読。去年の西洋中世学会で行なったポスターセッションを下敷きに、Lauwersのインエクレシアメント論とその影響下にある研究史を総ざらいする、という内容。凄まじい調査能力を発揮して、最新の研究まで網羅している。教会が墓地など聖なる場を活用して人口集中を促し、社会的空間を創出していた、という理解だが、現象としては9世紀に遡り、12世紀に頂点を迎えるという。
個人的な関心としては、「聖なる場」が教区が形成される核になったとして、12〜13世紀にこの「聖なる場」概念の性格は一定だったのか変質したのかが気になっている。この間、信徒の方はどんどん教化が進んでいるので、集住を促す聖性はそう単純に理解されるものでもなかろう。Michel Lauwers, Naissance du cimetière. Lieux sacrés et terre des morts dans l’Occident médiéval (2005)がどう論じているのか紐解いてみたい。なぜか手元にあった。Naissance du cimetiereamzn.to3,933円(2019月10月17日 17:43 詳しくはこちら)Amazon.co.jpで購入する
なお、インエクレシアメント論を日本語で最初に紹介したのは、著者によると杉崎先生だそうだ。Kindle版だと1188円なのでかなりお得。修道院の歴史: 聖アントニオスからイエズス会まで 創元世界史ライブラリーamzn.toAmazon.co.jpで購入する
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