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2013年度後期の授業案内と雑談

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夏休みも残すところはや3週間です。この間、岡山大学病院で初めて全身麻酔を経験するなど、なかなか落ち着かない日々を過ごしていました。

この手術では親知らずを抜いただけなので、それだけ言うとあまり大したこと無いように聞こえます。ところが、この親知らずは実に奥ゆかしく、滅多に無いほど深く潜っていて神経に接していました。このことはすでに3月の段階で分かっていたのですが、お世話になっている歯医者さんに匙を投げられ、東京医科歯科大学で治療方針は確定したものの、すでに岡山への引っ越しが迫っていました。そのため半年経ってやっと解決したわけです。

さて、そういうわけで後顧の憂いがひとまずなくなりました(まだ少し腫れて痛いものの)。10月からも張り切って授業をやっていきたいと思います。そこで、どれくらいの人が見ているか分かりませんが、大雑把に僕が担当する授業の内容を説明しておこうと思います。

①講義(火曜2限):ドイツ中世史概説

前期は古代〜中世の修道院史を扱いました。流れの追い方として、あまり修道制、あるいは教会史に閉じこもらず、同時代の世俗社会の動向と関連させて論じたつもりです(それは期末試験にも反映させました)。とはいえ、やはり修道院史だけでは一般的な西洋中世史の全容を把握することは困難です。そこで、来学期はドイツ地域に焦点を絞って、中世史全体を俯瞰してみたいと思います。

講義は王朝(主要な国王・皇帝)の事績を追う形で進むので、非常に古典的と言えるでしょう。ただ政治史に偏ると近年の研究成果をスキップすることになるので、合間合間に社会、経済、文化史などを挟んでいきます。

極力史料を引用したレジュメをお配りします。最近は重要な史料が多数日本語訳されているので、ずいぶん助かります。例えば以下のようなもの。

西洋中世史料集

西洋中世史料集

レジュメの形式は前学期大変好評だったので継続していきます。

②演習

引き続きドイツ語購読をやりますが、4回に1回はプレゼンテーション+ディスカッションの回を設けます。担当者数人に指定された文献を紹介してもらい、議論を喚起する意見・疑問を2〜3挙げてもらいます。

4週を1セットとして3セット、それぞれのテーマを大雑把に①政治、②社会身分、③信仰生活に設定します。もう文献の選定は済んでいるので、初回のガイダンスでマスターコピーをお渡しできると思います。

なお、ドイツ語講読では我がDoktorvaterハーファーカンプ先生の12世紀に関する概説書を読んでいきます。やはり12世紀、バルバロッサの時代を語らせると天下一品です。

Die Zeit der Staufer (1125 - 1198)

Die Zeit der Staufer (1125 – 1198)

③3年、4年課題演習

研究室全体でやる卒論指導。3年生はテーマを見つけ、その下調べを兼ねてレポートを作成してもらいます。4年生は卒論完成までまっしぐら。

④大学院演習

大学院では西洋史学の方法論を学べる邦語文献を講読しています。後期で扱う文献のうち現段階で決めているのはパミラ・カイル・クロスリー著/佐藤彰一訳『グローバル・ヒストリーとは何か』とエマニュエル・ル・ロワ・ラデュリ著/井上幸治他訳『モンタイユー 上・下』です。

グローバル・ヒストリーとは何か

グローバル・ヒストリーとは何か

モンタイユー―ピレネーの村 1294~1324〈上〉 (刀水歴史全書)

モンタイユー―ピレネーの村 1294~1324〈上〉 (刀水歴史全書)

  • 作者: エマニュエルル・ロワ・ラデュリ,エマニュエル・ル・ロワ・ラデュリ,井上幸治,波木居純一,渡辺昌美
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モンタイユー―ピレネーの村 1294~1324〈下〉 (刀水歴史全書)

モンタイユー―ピレネーの村 1294~1324〈下〉 (刀水歴史全書)

  • 作者: エマニュエル・ル・ロワラデュリ,エマニュエル・ル・ロワ・ラデュリ,井上幸治,波木居純一,渡辺昌美
  • 出版社/メーカー: 刀水書房
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もう1冊くらい読めると良いのですが、何か無いでしょうか。後期は修論の提出もあるので、匙加減が難しいです。

以上となりますので、西洋史の学生は言うまでもなく、他専攻の学生の参加もお待ちしております。

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