修道会史研究ネットワーク2019年度第1回研究会を開催
昨日、修道会史研究ネットワークの第1回研究会を開催しました。
日時:2019年7月2日(火)10:00〜12:30
場所:明治大学駿河台キャンパス 研究棟4階第7会議室
報告:
佐治奈通子さん(東京大学大学院人文社会系研究科博士課程)「オスマン朝下のカトリック修道院研究の現状:クレシェヴォ修道院所蔵のオスマン・トルコ語文書研究のために」
黒田祐我さん(神奈川大学外国語学部)「イベリア半島の騎士修道会をめぐる歴史と議論」
今回は、ラテン・カトリック文化圏の辺縁における修道会・修道院と外部権力との関係について考える会になりました。オスマン帝国支配下のフランシスコ会修道院に伝わる近世文書群に関する研究と、レコンキスタが進行する中世イベリア半島における騎士修道会に関する研究について報告を聞きました。
個人的な感想としては、修道会研究を進める上で大変視野が広がり、頭の中もとてもスッキリしました。今回扱われたオスマン朝下バルカン半島、そしてカスティーリャやレオン。これは東方植民運動のプロセスにも妥当しますが、ラテン・キリスト教世界の中心(=ローマ教皇)からの物理的距離で、修道院に対する世俗君主の影響力が変化してくるようです。
僕も以前修道院保護について論文を書きましたが、しっかりした保護環境にないと修道生活は営めませんし、そのために修道士は自らの持つ種々のリソースを活用します。そうした自助努力と、君主の宗教心から、地域の中で独特の結びつきが生まれてくるようです。
修道会史研究ネットワークは、昨年度に立ち上げた研究者交流プラットフォームで、科研費基盤(C)「中近世ヨーロッパにおける司牧活動に関する諸修道会の比較研究」が母体となっています。引き続き研究会を開催して修道会研究を推進して参りますので、報告したい方、報告を聞きたい方は大貫までお知らせ下さい。特に意欲的な大学院生を大歓迎します。
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