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論集Fernanda Alfieri and Takashi Jinno (eds.), Christianity and Violence in the Middle Ages and Early Modern Period

Blog, 文献紹介, 研究

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春にDe Gruyter社からFernanda Alfieri and Takashi Jinno (eds.), Christianity and Violence in the Middle Ages and Early Modern Period (https://www.degruyter.com/…/doi/10.1515/9783110643978/html) が出版されました。学期中に開くことができず、頂戴してからずいぶん経ってしまい失礼いたしました。改めてお礼を申し上げます。

本論集は、甚野尚志先生を代表とする二つの科研プロジェクト(基盤A「中近世キリスト教世界の多元性とグローバル・ヒストリーへの視角」と現行の基盤B「中近世キリスト教世界における宗教と暴力-対立と和解のポリティクス-」)の成果です。3回にわたってイタリア・トレントのブルーの・ケスラー財団イタリア・ドイツ歴史研究所で開催されたワークショップの成果で、日本からは甚野先生のほか、石黒先生、平山先生、皆川さん、黒田さん、武田さんが寄稿されています。

「宗教と暴力」は9.11同時多発テロを受けて盛り上がりを見せているテーマですが、担い手となりうるディシプリンは主に宗教学、社会学、歴史学。フランクフルト大学のドロテア・ヴェルテッケが指摘するように、ルネ・ジラールら宗教学が宗教と暴力の原初的関連性を強調する一方、社会学はなぜ宗教的暴力は頻繁に生じないのかとしてこれを批判します。では、歴史学ができることは何か?具体的な事例や思想を取り上げて、それに一定の見通しを与えるのが本論集が担う役割、ということになるでしょうか。

本論集で着目すべきは、ヨーロッパのみならず、新大陸や日本も視野に収めている点です。宗教がキリスト教で一貫しているのもわかりやすいです。

現行の基盤B「宗教と暴力」では僕も分担者に入っているのですが、上のヴェルテッケ先生の招聘がコロナでうまくいかず、特に役割を果たすことなく期間が終わろうとしていて不甲斐なく思っています。唯一研究会で報告したこと(「観想修道院と「暴力」 ──懲罰としての鞭打ちを中心に」)が、Fernandaが触れているsocial organizationについて、共同体内部の規律と強度に関わる論点を取り上げることができたくらいでしょうか。何とか論文にしたいと思います。

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