2020年度大学院ゼミの進め方(オンライン)
大学院ゼミではヨーロッパ中世のラテン語史料を講読しています。メンバーは助教1(外部から)、博士課程3(うち外部から1)、修士課程1の計5人で、シトー修道会で13世紀初頭に作成された『大創建史(Exordium magnum)』の第2部を読み始めました。都立大は授業開始が5月11日だったのですが、あまり期間を空けたくなかったので4月17日に初回顔合わせをzoomで行い、昨日ですでに第5回が終わりました。
僕自身この史料は初めて読むのですが、第2部は聖ベルナールがシトーに来てクレルヴォーの修道院長になっていく経緯を読めるのかと思ったら差にあらず、彼はもうすでにクレルヴォーの修道院長になっていて、彼の身の回りで起こった奇跡譚(幻視)がそれぞれ短めに綴られています。一つ一つが味わい深く、生前の怠惰に関わる因果応報であったり、悪魔が出てきたり、祈りを捧げる修道士一人一人の傍に天使が立つなど、興味深いエピソードを読んでいます。
オンラインだから、というわけではないのですが、今年はラテン語の和訳をすべて事前にSlackに上げてもらっています。それをScrapboxに各回ごとのページを作り訳文を貼り付け、授業中はzoomで議論しながら共同編集していきます。
Scrapboxは画像をドロップ&ドロップで貼り付けられるので、原文と対照させながら検討することができます(上の画像参照)。もちろん手元に紙はあるのですが、ブラウザと手元の紙、そして辞書などを行ったり来たりするのはとても面倒なので、その動きを最小限にしたいという思いがあります。
事前に訳文をアップしてもらうことで、僕は授業前にチェックできます。もちろん完璧には読めませんので、気になったところに印をつけ、zoomで検討する。これをやっておくことで、結果としてとても早く進むことが分かりました。今年度の目標は、ある程度まとまった量の試訳を紀要か何かに投稿することです。それを目指して頑張っていこうと思います。
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