新年の抱負2016
新年明けましておめでとうございます。今年もどうぞよろしくお願いします。
昨年の記事を見て、ちょうど1年前に振り返りと抱負を書いたのを思い出しました。昨年はいかに抱負の通りにできなかったのかを反省するためにも、今年も同じことをしたいと思います。
昨年の研究・教育活動は、主だったところで以下の通りです。
1月:井上周平さんによるゲスト講義
分担をやっている科研費プロジェクトの研究会(@岡山大学)で報告
3月:「近代史の現在」シンポ(@福岡大学)でコメント
書評1本刊行
7月:国際中世学会(@リーズ大学)で報告
10月:早稲田大学高等研究所セミナーシリーズ〈新しい世界史像の可能性〉(@早稲田大学)で報告
11月:論文1本、書評1本刊行
講演会「女性の貧困」開催(@岡山大学)
12月:トレント・ワークショップで報告(@イタリア・ドイツ歴史研究所)
映画上映会「『首相官邸前で』ー反原発デモと人文学」(@岡山大学)
まずは研究面から。去年書いた通り、ひとまず査読誌に論文を1本のせることができたのは良かったです(「盛期中世におけるシトー会修道院の小教区=農村共同体形成への関与に関する研究」)。これはresearchmapでダウンロードできます。
あと専門に近い2冊の本(ジャイルズ・コンスタブル(高山博監訳)『12世紀宗教改革:修道制の刷新と西洋中世社会』と杉崎泰一郎『修道院の歴史ー聖アントニオスからイエズス会までー』)の書評を書かせてもらったのも、自分の問題関心を言語化できたという意味でも有益でした。コンスタブルの方は機関リポジトリからダウンロードできます。
7月以降の口頭発表は、先程の査読論文と同様、いずれも現在2年目の個人科研による成果です。基本的な内容はかぶるのですが、少しずつヴァージョンアップすることができました。今後はもっと事例を網羅的に集めて、新しいフレームワークの中に落とし込んでいきたいと考えています。来年がこの科研の最終年度なので、あともう一踏ん張りです。
昨年、こんなことを書いていました。
研究面における新年の抱負として、まず何より執筆活動とそのための勉強に専念します。一つは博士論文の刊行に向けた修正作業。これはとにかく迅速に進めないといけません。それが終わったら、去年出版社の方と話だけは進めておいたプロジェクトに全力を注ぎます。
そういうこともあって、昨年沢山行った口頭発表は極力減らすつもりでおります。現段階で3月に西の方でコメンテーター的なお仕事が決まっていますが、それくらいにとどめておきたいのが正直なところです(実際蓋を開けてみたらどうなるか全くもって分かりませんが・・・)。
いやー、未来のことって本当によく分からないですね!この抱負は一顧だにされず、結果としてトレントまで行って貴重な経験をさせてもらいました。巡り合わせといいますか、成り行きといいますか、そういうもののありがたさを実感しております。
しかし、今年もこの調子だと信頼して待ってくれている方々に面目が立ちません。そのため今年は、①ドイツ語単著(2016年1月末締め切り)、②日本語単著(2016年夏までに目処を)、③翻訳書(2017年1月締め切り)の3つの課題に専念し、外でのお仕事はお引き受けしないようにいたします(と、今年も言っておく)。それとは別の事情もあり、あまり学会、研究会にも顔を出すことはないでしょう。慶應でやる日本西洋史学会は諸事情により参加しますが。
教育面では、まず「西洋史講義」に畏友井上さんを呼べたのがとても刺激的でした。あとは昨年の宣言通り、中世史の分野で卒論を書く人向けの演習を通年で開講できたのも大きな変化。これは来年も継続して、今度は大学院生と一緒にやろうと思います。
大学院生と言えば、来年は中近世史で念願の大学院生が2人入ってくれる見込みです(内部1、外部1)。まだ卒論を書いているところで、研究能力がどこまでのものになるのか未知数ですが(それが9月入試の問題点)、いろいろなことに関わってもらいつつ、一緒に勉強できればいいかなと。
岡山大学は来年度から、どこよりもラディカルな改革を行って60分授業・4学期制を導入することになりました(主要大学の多くで4学期制はやるようですが、60分はさすがに・・・)。しかし、1コマ60分にするメリットは結構あると感じています。その一環として、来年後期に開講する「西洋史講義」は、これに「人文学インタラクティブ講義」という60分1コマの新設科目をくっつけて、実質3コマでやっていこうと思っています。英米で採用されている講義形式ですが、3コマ目はTAにも手伝ってもらいながら少人数でディスカッションをします。年末はこれをやろうと思い立ち、まず賛同して一緒にやって下さる先生に声をかけ、制度的に可能にしてもらうため執行部の先生方にかけあっておりました。おかげさまで、岡山大学文学部では4つの授業でこの新形式を志向する見込みです。どうぞお楽しみに。
以上をもって新年の抱負とさせていただきます。とにかく楽しみながら、ある程度ゆとりを持って。今年もどうぞよろしくお願いします。
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