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西洋史講義にゲストをお呼びしました

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年明け早々の8日、木曜2限の西洋史講義にゲストとして井上周平君をお呼びしました。慌ただしくしていて更新を怠っておりましたが、これはちゃんと報告しておかないとと思いまして、エントリーをしたためております。

ゲスト講義は、僕としては初めての試みでした。授業のテーマに関連させて、自分ではフォローしきれないことをどなたかに喋っていただきたい、というのは漠然と年度始めから考えていて、そのための予算は確保していました。しかし人選の直接のきっかけは、昨年5月に立教大学で行われた日本西洋史学会で井上君の顔を見た瞬間です。講義のテーマと彼の専門領域がぱっとつながり、話を持ちかけることにしたのでした。そうこう思っていたら、井上君はその時に行ったポスター発表「近世ドイツにおける瀉血の理論と実践」見事最優秀賞を獲得しているじゃありませんか!ますますその研究の魅力を語ってほしいと思いました。

井上君はDAAD奨学金をもらって留学した同期で、僕らは共に2ヶ月の間ケルンの語学学校でドイツ語を学びました。(少なくとも僕は)上級のクラスに入ってしまい、なかなか会話が上達せずとても苦労したので、彼とは戦友のような近しさを覚えています(もちろんドイツ中近世史というくくりで専門も近しいわけですが)。

さて講義の内容は、12世紀ルネサンスで医学の知識が西欧に入ってくるところから、それが後期中世、近世にどう展開したか、についてでした。本来の講義の趣旨は盛期中世の時代的意義を様々な分野から考察するというものなので、それを医学の分野で学生のみなさんに考えてもらいました。

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キリスト教がどうガレノス主義と折り合いをつけたのか、内科医と外科医の話、中世的医学が近世以降どれくらい影響力を持ったのか、など非常に多岐にわたって話してもらいました。

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90分はあっという間で、最後の10分くらいで僕が感想を述べて井上君に応答してもらいました。非常に有意義で、学生の皆さんも集中されていましたね。事実、この翌週に小テストをやりつつ感想を書いてもらったのですが、これまで考えたこともなかった前近代の医学が、歴史的経緯を経て近代まで意味を持ち続けていたことは、多くの人に印象深かったようです。

こうしたゲスト講義は、1年に1回くらいやってもいいですね。自分で講義の枠組みを作り、内容を練っていく中で、どうしても手に負えない部分が出てきます。普通は省略してしまったり、あるいは表面的なレヴェルで済ませてしまうわけですが、それを専門家に委ねるのは、学生のみならず僕の勉強にもなります。今後も続けていけたらなと思います。来年度は前期が盛期中世の修道制を扱った西洋史講義、後期は初期中世を扱った西洋史概説を開講します。初期中世の方をお呼びしたら楽しそうですね。

井上君には感謝しております。また一緒にイベントをやったり、勉強をしたりしたいですね。

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