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西洋史演習におけるディスカッション

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昨日の西洋史演習は、普段のドイツ語文献購読ではなく発表とディスカッションを中心に行いました。大まかな手順は以下の通り。

これまで3回にわたり、中世盛期のドイツ王権、具体的にはフリードリヒ・バルバロッサの政治史をドイツ語で講読してきました(残念ながらあまり読み進んではいないのですが)。そしてこの政治史に関連して論文を2本選定し、片方を担当者を決めて要約・紹介してもらいます。参加者が全員で12人いるので、今回は4人に4分の1ずつ担当してもらいました。要約の仕方、レジュメの作り方は本当に人それぞれですが、聞きながら、どういう形式が良いのかが僕自身何となく分かってきました。

そしてその後2本の論文を参考にしながらディスカッションを行います。その際、先程の発表者から問題提起をしてもらいます。今回は

  • 皇帝権と教皇権の関係、特に教皇権が皇帝権にいかなる関与ができるのか。
  • ハインリヒ獅子公訴訟後、なぜ王権はザクセン公領とバイエルン公領を再授封してしまったのか。
  • 英・独・仏で王領地の拡大とそれを支える制度的裏付けがどう異なるのか。

などを議論しました。ただ、時間もなく、その中で何かしら議論を展開させたいと思うあまり、結果として僕自身が多くしゃべってしまったのは問題でした。もう少し沈黙の時間に耐え、学生にお任せした方が良かったかなと思います。学生側については、発表者4人を筆頭に頑張って発言し、想像以上のパフォーマンスで議論を組み立てていたように思います。歴史学における議論がどういうものか、少しは体得していただけたでしょう。しかしそれと同時に、知識の裏付けがないと有益な議論ができない、というのも実感されたはずです。この点は、学部2〜3年生主体の授業では仕方ないでしょう。

あと2回同様の時間を設けますので、そこではさらに改善させて臨みたいと思います。文学部の学生には、多い順に民間企業への就職活動組、公務員試験組、そして大学院進学組がおります。しかし、いずれにせよグループディスカッションを行う能力は問われますし、就活の面接で司会役を突然振られることもあるわけです。そうした事も踏まえて、西洋史の授業をただの座学で終わらせるのではなく、文献から知識を得、そこから問いを引き出し、表現する場にしてほしいと思います。まだまだ僕自身が未熟ですが、学生の皆さんの反応を見ながら、少しずつ授業をヴァージョンアップさせていきたいと思います。

西洋史の授業をいかに工夫するかは、多くの若手の先生方が試行錯誤しているのだろうと思います(ルーティーンに入って順調に授業運営できる方がうらやましい)。そうした工夫は、何らかの機会を設けて皆で共有したいものですね。柳原さんがやっておられる歴史コミュニケーション研究会が実践面における歴史教育の方法論を扱っていますが、まだ大学の授業の方法・構成についてはほとんど取り上げていないようです。例えば、「西洋史演習(類似の授業も含む)」運営法をテーマに3人から3通りの事例を聞くだけでも、有益かもしれませんね。

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