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小倉欣一『ドイツ中世都市の自由と平和』

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心底気をもむことがあり、ほぼ腑抜けと化して困っている昨今。ところが本日土曜日、妻が体調を崩したため子どもの面倒を必死に見ていると、そのことに専心するため永久機関のごとく気に病む時間が大幅に減った。まさにこれこそ天の配剤だと理解し、前向きに捉えることにする。

お昼に娘を連れて街へ出て、コンスタンティン・バジリカ(4世紀初頭に建てられたローマ帝国の宮殿、現在はプロテスタント教会)の裏にある公園でひとしきり遊び、その後娘が寝た隙にカフェに入って持ってきた本を開いた。それが小倉欣一『ドイツ中世都市の自由と平和―フランクフルトの歴史から』勁草書房、2007年。

ドイツ中世都市の自由と平和―フランクフルトの歴史から

ドイツ中世都市の自由と平和―フランクフルトの歴史から

本書は2010年に重版されており、さすが伝統的な都市史だけあって間口は広い。内容は著者がこれまで発表してきた論文をまとめたもので、中世帝国都市フランクフルトの政治・経済を分析し、都市の自由と平和の根拠を探る。視点・方法論は伝統的なものだが、東洋大学〜早稲田大学で中世ドイツ都市史を牽引してきた著者の豊富な知識に基づく叙述は、都市史に不慣れな者にとって大変勉強になる。

今日は特に、フランクフルトが14世紀後半から本格的に行われた領域政策に関する章を読んだ。主にE. Orthの論文に基づいて整理された内容は簡明で、なぜ帝国都市が周辺村落の獲得に着手したのかが理解できたので満足した。

こうした勉強をしているのも、12月に予定されている口述試験で扱われるテーマに関係しているからである。たまたま手元にあってよかった。この調子で何とか準備に専念したいのだが、それでも不安が頭をよぎるので、もうしばらく悶々とした生活が続くのではないかと思う(妻がダウンしたのは僕の負のオーラに当てられたから、という仮説 が自分の中で専ら有力・・・申し訳ない・・・)。

 

 

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