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ヒルザウ修道院慣習律
修道院研究の文脈で新しい文献を一つ紹介。
Corpus Consuetudinum Monasticarum XV,1-2 Willehelmi Abbatis Constitutiones Hirsaugienses, Adiuvante Candida Elvert O.S.B, Recensuit Pius Engelbert O.S.B., Siegburg 2010.
クリュニーと同様に俗権からの解放に尽力した改革修道院ヒルザウ。ここで11世紀に修道院長ヴィルヘルムがクリュニーの慣習を参考にして慣習(consuetudo)を作成した。このたび,そのエディションが出版されました。
ヒルザウ傘下には120〜150の修道院があったにもかかわらず,慣習律の手稿は18しか残存しておらず,本書はそれらを元にしたクリティカル・エディションです。クリュニーの慣習はエディションがまだ整っておらず,常にフランス国立図書館所蔵の手稿(Hs. Paris, BN, lat. 18535及びHs. Paris, BN, lat. 13875)を参照しなければならない現状において,これによりconsutetudo研究の進展に大いに貢献するのではないかと思うのですが,残念ながら日本で使える研究者はいないかもしれません。
こちらのブログ記事で端的に指摘されていますが(3年前のものですが今も状況は変わりませんね),ドイツで日々生産される修道院研究の文献をちゃんとフォローしている人は皆無に等しいです(頑張ります)。
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