西洋史演習のリズムが確立したか〜その2
②ディスカッション
4回に1回、テーマと課題文献を指定して参加者でディスカッションを行います。これは今学期からの試みで、ヨーロッパ中世史を題材に、学生の皆さんに自分の頭で考えてもらう場を設けたいという切実な思いから始めました(そういう場は以外と少ないです)。
テーマは順に、盛期中世を中心にした「政治」「社会身分」「信仰生活」として、文献は各回オーソドックスな日本語文献を2本ずつ指定しました。学部ですので日本語文献です(大学院なら外国語文献ないし一次史料を用いたい)。文献の選定には堀越宏一・甚野尚志編著『15のテーマで学ぶ中世ヨーロッパ史』ミネルヴァ書房、2013年が役に立ちました。叙述内容が具体的で、学生に発言を促す良い論考が収められています。
参加者には全員事前に文献を読んできてもらい、授業ではまずそのうち1本を4人で分担して要約してもらい、その4人を中心にディスカッションをしてもらいます。その際、話題があらぬ方向に行っても基本的にすべて許容します。しかし発言内容は、おおよそ以下のようなものが主となりました。
- 単純にある事項の意味が分からないので質問してみる
- ある事項に対して興味を持ったということを表明してみる
- 別の時代、国に類推できる話題があるのでそれを投げかけてみる
中世史について専門知識が多くなければ、おおよそ発言はこのあたりに収斂されてくるでしょう。そしてこれらの発言に対して誰かが何らかのリアクションをする。テーマによってはさらに(僕を含めた)誰かがリアクション。これが何セットか続くと時間が来ます。1回目は学生側の発言が乏しく、かなり僕がしゃべってしまい反省しきりでした。しかし2回目で発言が一気に増え、3回目はみんな積極的に話していました。かねがねこういう授業運営をしたいと思っていたので、3回目はとても満足して研究室に戻ってくることができました。
まだまだ模索中ですが、この形式は来年度も引き続きやっていきます。ぜひ今回のやり方を会得した新3年生、4年生には引き続き取っていただき、新2年生がスムーズに入れるよう手助けをしてもらえればと思います。
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